Natural farming
夏を乗り切る野菜と草を一緒に育てる理由
今の畑の野菜たち
5月の連休過ぎにタネから育てている野菜たちは、7月に入ってから日照りが続いているにもかかわらず、元気で成長しています。
昨年と比べると成長の速度が遅れているようですが、その話は次回に
上の写真には共通点があるのがわかりますでしょうか?
そうです。草たちと一緒に育っているのです。
昨年の失敗例
昨年、同じ頃大浦太牛蒡を育てていて、夏に周りの草が密集していたので草を刈ったのですが、見事に枯れてしまったのです。
お年寄り達からすれば、なぜ草引きをしないのか?と言われそうですが、草と野菜を一緒に育てるのには理由があるのです。
自然農の畝で野菜と草を一緒に栽培する理由を以下に箇条書きでまとめました。
- 土壌の保護:
- 草が土壌を覆うことで、雨や風による侵食を防ぎ、土壌を保護します。
- 土壌の肥沃化:
- 草の根が土壌の構造を改善し、微生物の活動を促進します。これにより、土壌の肥沃度が向上します。
- 自然の生態系の維持:
- 草を残すことで、多様な生態系を維持し、害虫の天敵となる生物を引き寄せることができます。これにより、害虫の発生を抑制します。
- 水分保持:
- 草が土壌の表面を覆うことで、水分の蒸発を抑え、土壌の水分保持力を高めます。
- 雑草の抑制:
- 既存の草が他の雑草の発芽や成長を抑制することで、手間を省くことができます。
- 植物間の共生:
- 特定の草が野菜と共生関係を築き、互いに成長を助け合う場合があります。
- 自然な肥料供給:
- 草が枯れて分解されることで、自然な肥料となり、土壌に栄養分を供給します。
- 景観の美化:
- 草と野菜が共に育つことで、自然な景観が生まれ、美しい畑を作り出します。
これらの理由により、自然農では野菜と草を一緒に栽培することが推奨されています。この方法は、自然の力を最大限に活用し、持続可能な農業を実現するための重要な要素となっています。
草がある場合とない場合の土壌温度の違いについて説明します。
草がある場合の土壌温度
- 温度の安定性:
- 草が土壌表面を覆うことで、日中の直射日光から土壌を守り、土壌温度の急激な上昇を防ぎます。
- 夜間は草が土壌表面に蓄えた熱を保ち、急激な温度低下を防ぐため、昼夜の温度変化が穏やかになります。
- 冷却効果:
- 草の葉が蒸散作用によって水分を放出するため、土壌表面の温度が下がりやすくなります。これにより、土壌表面の過剰な熱を逃がすことができます。
草がない場合の土壌温度
- 温度の急変動:
- 土壌が直射日光にさらされることで、日中の温度が急激に上昇しやすくなります。特に夏場は土壌表面が高温になることがあります。
- 夜間は逆に、放射冷却によって土壌温度が急激に下がるため、昼夜の温度差が大きくなります。
- 保水力の低下:
- 草がないと土壌表面の水分が蒸発しやすくなり、乾燥しやすくなります。乾燥した土壌は熱を蓄えにくく、温度変動が激しくなります。
実際の効果
いくつかの研究により、草やマルチング(有機物や植物残渣を土壌表面に敷くこと)が土壌温度を調節する効果が確認されています。例えば、ある研究では、マルチングがない場合の土壌温度は、日中に50℃近くまで上昇することがありますが、草やマルチングがある場合は30℃から35℃に保たれることがわかっています【参考: 石井信一「自然農法の理論と実践」】。
このように、草が土壌表面を覆うことにより、土壌温度の急激な変動を防ぎ、植物にとってより安定した成長環境を提供することができます。このため、自然農では草を活かした農法が推奨されているのです。
この記事へのコメントはありません。