昔、万願寺トウガラシを育てていた時のこと。
成長が思わしくなかったので、少しでも大きく育てようと米ぬかをたっぷり施肥しました。
結果は予想外…
一度も経験したことのないほどのカメムシが集まってきました。
取り除いても取り除いても、次から次へとやってきて、野菜はどんどん弱っていく。
当時の僕にはその原因がまったくわからず、ただ虫との格闘の日々でした。
でも、その数年後、僕は自然農を学ぶことになり、同じように万願寺トウガラシを無肥料で育てました。
今度はどうだったかというと…不思議なことに、虫は全く寄って来なかったのです。
そして、野菜は元気に育ってくれたのです。
この違いは、僕にとって非常に大きな学びでした。
では、なぜ無肥料栽培で虫が寄りつかなくなったのか。
その理由を、今回は3つのポイントに分けて解説します。
過剰な肥料が野菜を弱らせる理由
当時、米ぬかをたくさん施肥したのは「栄養が足りないなら補えばいい」という単純な考えからでした。
しかし、自然農を学んだことでわかったのは、肥料を過剰に与えると、野菜は逆に弱ってしまうということ。
肥料が多すぎると、野菜の根は強制的に水分を吸収してします。
その結果、苗は水ぶくれ状態となり、ストレスを受けてさらに弱り、健康を損なうのです。
この「弱っている」という状態を、虫たちは敏感に察知します。
つまり、カメムシが集まってきたのは、野菜が発する「SOSサイン」に反応していたということなんです。
野菜が弱ると、虫たちはそれを「おいしいごちそう」として認識し、さらに集まってくる。
その結果、ますます植物は傷んでいく…まさに負のスパイラルが生まれていたのです。
無肥料栽培で野菜が本来の力を発揮
一方で、自然農に基づいた無肥料栽培ではどうなるか。
肥料を与えないことで、野菜は自然の力に頼り、ゆっくりと自ら成長するための力を引き出します。
僕が自然農で育てた万願寺トウガラシも、肥料を与えずに育てた結果、驚くほど元気に成長しました。
この栽培方法では、野菜は自ら必要十分な栄養を土から吸収し、健康で力強い苗に育つ。
そのため、虫たちも「弱っていない野菜」を察知し、寄りつかないのです。
特に印象的だったのは、無肥料で育てた万願寺トウガラシにはカメムシが一匹も寄りつかなかったこと。
この結果を目の当たりにして、無肥料栽培の凄さを実感したのです。
自然農の原理はシンプルですが、その効果は絶大です。
自然の力を信じ、野菜に無理をさせないことで、虫が寄りつかない強い植物が育つのです。
自然農が教えてくれる、人間と植物の健康の共通点
僕が自然農から学んだもう一つの重要なことは、人間の健康と植物の健康には多くの共通点があるということです。
野菜に過剰な肥料を与えると、その苗が弱くなるように、人間も過剰な栄養を摂りすぎると健康を損ねます。
例えば、栄養を取りすぎることで肥満になり、さらには糖尿病などの生活習慣病を引き起こす。
この現象は、野菜が肥料を過剰に吸収して弱るのと非常によく似ています。
そして、自然界では人も植物も同じであると言うことです。
自然農では、野菜に必要以上の栄養を与えず、植物が持つ本来の力を引き出すことが基本です。
それと同じように、僕たち人間も、必要以上の栄養を摂らず、バランスを大切にした食生活を心がけることが重要だと気づかされました。
自然農はただの栽培方法ではなく、自然との共生を教えてくれる哲学でもあります。
植物と人間の健康には深い共通点があり、適度な栄養とバランスが鍵であることを実感しています。
自然農の学びを実践して
こうして自然農を学び、実践してきたことで、多くのことを学びました。
過剰な肥料を使わずに野菜を育てることで、虫が寄りつかない強い野菜が育つ。
そして、それは私たちの生活にも応用できる知恵です。
自然農の魅力は、そのシンプルさと効果の確かさにあります。
これからも、自然と共に育てる喜びを感じながら、健やかな野菜を育てていきたいと思います。
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