自然農

1ミリのタネに宇宙がある-温床で芽吹いたアロイトマトと、自然農の奇跡

今年も、静かな奇跡が始まりました。

それは、たった1ミリほどの小さなタネから。
土の中に眠っていた命が、温床のやわらかなぬくもりを感じ取り、
「いまだよ」と語りかけるように、芽を出しました。

写真に写っているのは、固定種のアロイトマト
農薬も、化学肥料も、発芽促進剤も使っていない、自然そのままの状態で育てています。
この時期、毎日温床をのぞく瞬間はドキドキします。
「ちゃんと芽が出てくれているだろうか?」
「土の中で、無事に命が動き出しているだろうか?」

そして、ふたばが並ぶこの景色を見ると、
胸の奥からじわっと感動がこみ上げてくるのです。


🌞 “自然農”は、待つことから始まる

自然農では、「人がやるべきこと」と「自然に任せること」を丁寧に分けます。
タネをまいたら、すぐに芽が出る保証なんてどこにもありません。

土の温度、湿度、光…
すべてがそのタイミングを知らせる「合図」になる。
その合図を、タネはちゃんと感じ取っているんです。

僕たちは、信じて待つことしかできません。
でも、それでいいんです。

自然のリズムを信じて、
焦らず、急かさず、
「いのちの声」を聴く。

それが自然農の基本であり、
この生き方が、僕の心を何度も整えてくれる。


🍅 アロイトマト──「味の記憶」をつなぐ存在

僕がこのアロイトマトを育て続けているのには、理由があります。

それは、「あの時の味」を、未来に伝えたいから。

子どもの頃、祖母の畑でかじったもぎたてのトマト。
真っ赤で、甘くて、少し青臭くて…
一口食べた瞬間、口の中に夏の太陽が広がったような気がしました。

その味が、いまだに忘れられない。

今、スーパーに並ぶトマトの多くはF1種で、均一に育ち、見た目もそろっているけれど、
どこか物足りない、味が平坦なんです。

アロイトマトは、固定種。
自家採種を繰り返し、その土地、その年の気候に合わせて、
毎年少しずつ個性を深めていく野菜です。

だからこそ、「その年だけの味」があります。
それは、工場では決して作れない“いのちの味”なんです。


🌍 命とリズムを共にする暮らしへ

自然農の畑にいると、
人間が“自然から離れてしまった距離”を痛感します。

でも同時に、
「戻る場所がここにある」
という安心感も、土から伝わってくる。

たとえば、プランターでもいい。
ベランダでも、小さな庭でも。
命の循環を感じるには、場所の広さは関係ありません。

アロイトマトのように、
たった1ミリの命にも、宇宙が詰まっている。

それを育てる私たちもまた、
自然に育てられている。

そう思えるだけで、
今日という日がちょっと豊かに感じられるんです。

🍀 最後に

温床で芽吹いたアロイトマトたちは、
これから少しずつ、本葉を広げていきます。
5月には定植し、夏には真っ赤な実をつけてくれるはずです。

その頃には、KAIKAサロンの会員さんや体験会に来てくださる方々と、
一緒に収穫の喜びを分かち合えたら嬉しいなと思っています。

命のリズムに触れるこの季節、
ぜひ一緒に、タネの物語を感じてみませんか?

🔔【お知らせ】

今年は数量限定で、固定種・アロイトマトの苗をご用意しております。
5月に開催予定の「畑でのトマト定植会」にご参加いただき
畑への定植作業をお手伝いいただいた
KAIKAサロン会員様限定で、畑にてお渡しさせていただきます。

苗の発送は行っておりませんので、
ご希望の方は定植会へのご参加をお忘れなく。
詳しい日程は、KAIKAサロン内またはSNSにてお知らせいたします。

西口 吉宏

26年前から自宅の畑で無農薬栽培を始める。 60歳を機に自然農園KAIKAを経営 自然農で栽培した野菜は全国から注文が殺到するようになった。 耕作放棄地を借り現在耕作面積2000坪以上。 自然農の野菜は数少なく、プロの料理人からも絶賛。 子ども達にトマトの収穫体験をさせて食育事業にも貢献。 セミナー・体験会・お話会、 また初心者の方のための栽培サポートや 地元のビオマルシェを定期開催し 自然農普及活動に力を入れている。

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